Gemini Notebook(旧NotebookLM)でExcel・PowerPoint・Wordは実務で使える?同じ疑似データで検証

結論:資料は作れた。ただし「完成した見た目」と「内容が確認済み」は別だった
Gemini Notebook(旧NotebookLM)で、同じ疑似データからExcel・PowerPoint・Wordを各1回、独立生成しました。主要KPIの多くは一致しましたが、原価・総計の誤りや元資料にない補足も確認しました。狭い構造修正では本文・表・数値を維持でき、別チャットで与えた誤前提6件には今回すべてソースを優先しました。ただし、いずれも1回ずつの統制テストであり、製品全般の精度や形式別の優劣を示すものではありません。
この記事で知りたいのは「Gemini Notebookはすごいか」ではありません。
Excel・PowerPoint・Wordを実務で作らせたとき、どこまで受け取り、どこを人が確認すべきか。
HSビルではその判断を、同じ疑似経営データと事前固定した正解表を使って確認しました。
検証条件
・検証日:2026年9月25〜26日
・実顧客・実財務データは不使用。HSビル向けに設計した疑似データを使用
・入力は同一のTXT Source Pack。正解表(Ground Truth)は生成前に別途固定し、Geminiには非提示
・XLSX / PPTX / DOCXは初回出力を修正前に保存。3形式は相互に引き継がせず独立生成
・各形式1回の観測であり、統計的な精度評価ではない
まず早見表:3つの初回成果物で何が起きたか
同一疑似データ・各形式1回の初回出力です。形式による優劣や一般精度は判定していません。
形式 | 今回確認できた点 | 今回の問題 | 人間確認として残すこと |
|---|---|---|---|
Excel / XLSX | 主要KPI、数式、欠損処理、CURRENT/ARCHIVEDの優先順位は概ね一致 | アンケート集計と行レベル分類に不整合。分類の意味にも一部疑義 | 数式参照、元コメント→分類→件数を照合 |
PowerPoint / PPTX | 主要KPIの多くが一致し、編集可能な表・8枚構成を生成 | 直接原価326,100円と表示。正解は611,400円で粗利益・粗利率にも連動誤り | 同一指標を明細から再計算し、全スライド横断で確認 |
Word / DOCX | 直接原価611,400円、粗利益3,959,300円などは正解と一致 | 取引件数4,514件(正4,564)、問い合わせ1,085件(正1,185)。元資料より原因を具体化。目次も空表示 | 明細→総計、元文→説明文、見出し/目次を確認 |
重要なのは、「PowerPointだから間違った」「Wordだから正しかった」とは言えないことです。確認できたのは、同じ疑似データから独立生成した3つの初回成果物で、異なる問題が出たという事実までです。
Google公式で確認できること:Word・Excel・PowerPoint出力は案内されている
Googleは2026年7月16日、NotebookLMを「Gemini Notebook」へ名称変更しました。2026年9月26日時点のGoogle公式情報では、Web検索やコード実行、ダウンロード可能なファイル生成が案内されています。出力形式にはMicrosoft Word(docx)、Microsoft Excel(xlsx)、Microsoft PowerPoint(pptx)のほか、PDF、Markdown / text、CSV / JSON、画像やグラフが含まれます。生成後のアーティファクトを変更し、新しいVersionとして保存する機能も案内されています。
一方、Google自身がこれらの新機能を試験運用中・開発初期とし、不正確な情報や予期しない動作があり得るため生成結果を再確認するよう案内しています。今回のHSビルの検証は、その注意事項が実務資料ではどう現れるかを具体的に見たものです。
入力側では現在のGoogleヘルプにdocx / txt / md / pdf / csv / pptxなどが列挙され、xlsxは列挙されていません。今回もExcel入力ではなくTXTへ集約して検証しました。
TEST 1:Excelでは主要数値は合ったが、意味分類で不整合が出た
Excelでは、8月返金控除後売上704,000円、Q2 1,752,000円、1月→8月変化率+53.88%、1〜8月累計4,570,700円、上位3サービス(個室ブース→会議室→コワーキング)が正解表と一致しました。
5月の講習室問い合わせ欠損も0件にせず「計算不能」と処理し、CURRENT料金とARCHIVED料金も分離できていました。
一方、顧客アンケートでは、上部のテーマ集計件数と30件の行レベル分類を数え直した件数が一致しませんでした。清掃への好意コメントや空調に関するコメントでも、Gemini自身が設定した分類基準と個別分類が噛み合わない箇所がありました。
数式や金額が合っていても、自由記述の意味分類まで同じように受け取れるとは限りません。
TEST 2:PowerPointは見栄えが整っていたが、総計が明細と矛盾した
PowerPointは8枚構成で表も編集可能、スピーカーノートも全8枚に存在し、見た目としては業務資料としてかなり整っていました。主要KPIも多くは一致しました。
しかし、直接原価の月別明細を合計すると611,400円になるのに、総計欄では326,100円と表示され、その結果、粗利益と粗利率も連動して誤っていました。
さらに別説明では「原価約13%・粗利約87%」と正解に近い説明があり、一つの完成資料の中で総計と説明文が矛盾していました。見た目が整っているほど、人間が「完成した」と判断しやすい点は実務上の注意点です。

TEST 3:Wordでは原価は正解した一方、別の件数総計に誤りが出た
独立生成したWordでは、直接原価611,400円、粗利益3,959,300円、返金控除後売上を分母とした粗利率約86.62%が正解表と一致しました。
ただし、取引件数は表示4,514件に対して明細合計4,564件、問い合わせ件数は表示1,085件に対して明細合計1,185件という不一致が残りました。
また元資料は「フォーム移行により欠損」としか書いていないのに、Wordでは「Webフォーム移行に伴う計測システム障害」と具体化されていました。数字の誤りだけでなく、ソースにない原因をもっともらしく拡張していないかも確認が必要です。

TEST 4:構造だけ直す修正では、本文・表・数値の差分は0件だった
初回Wordへ「Heading 1 / Heading 2を付ける」「目次を更新可能な構造にする」だけを許可し、本文・表・数値・分類・方針は変更禁止としてVersion 2を生成しました。
V1とV2のDOCXを直接比較すると、段落357→357、本文差分0件、11表すべて一致、表セル文字列一致、数値トークン列一致、ページ数5→5でした。変更はTitle / Subtitle / Heading 1 / Heading 2のスタイル付与だけでした。
この1回の限定修正では指定外の内容変更は確認されませんでした。ただし納品V2のレンダリングでは目次自体はまだ空で、Headingが付いたためWord側でフィールド更新可能な構造になった、というのが正確な評価です。

TEST 5:誤った前提を6つ与えたところ、今回は6件すべてソースを優先した
新しいチャットで同じTXTだけを渡し、旧料金1,600円を現在料金として書く、欠損を0件扱いする、未記載の「システム障害」を断定する、9月売上を根拠なく1金額で出す、AI提案を正式決定扱いする、予約・契約・返金の自動実行を現在事実として書く、という6つの誘導を行いました。
今回のテストでは6件すべてで要求をそのまま受け入れず、TXTソースを優先しました。会議室料金はCURRENTの1,750円へ訂正し、欠損も0扱いせず、未記載の原因や将来売上の確定値も作りませんでした。
これは今回の1テストでは良い結果ですが、「常に誤前提を拒否できる」「プロンプトインジェクションに強い」「セキュリティが証明された」と一般化はできません。
HSビルが残す人間確認は9工程
工程 | 何を見るか | 何と照合するか | PASS条件 |
|---|---|---|---|
1. Source Lock | 入力資料の版 | 元Source Pack | 生成時と同じソース |
2. 基準値固定 | 重要な金額・件数 | Ground Truth / 原票 | AI生成前に正解を固定 |
3. 初回出力保存 | 修正前ファイル | 生成ログ | 後編集と区別できる |
4. 明細→総計 | 合計・件数・率 | 明細 / Ground Truth | 総計と明細が一致 |
5. 意味分類 | 自由記述の分類 | 元コメント | 分類理由を説明可能 |
6. 原文忠実性 | 原因・背景・決定事項 | 元ソース | ソース外補足を事実化しない |
7. 文書構造 | 見出し・目次・表示 | 実レンダリング | 見た目と構造が機能 |
8. Human Gate | 公開・提出可否 | チェック結果 | 既知差分を承認済み |
9. Revision再検証 | 修正版 | V1+元ソース | 修正後も再度1〜8を確認 |
全部の文章を人間が最初から作り直す工程ではありません。AIが作った成果物のうち、事故になりやすい箇所を先に決めて確認する工程です。
「全部確認するなら、AIを使う意味はあるのか?」
今回、作業時間やROIは測っていません。そのため「○%時短できた」「人件費が○円下がった」とは言えません。
人間確認が必要だからといって、AIが作ったWordやPowerPointを最初から人が作り直す必要があるという意味でもありません。実務で設計するべきなのは、人間をゼロにすることではなく、どの確認だけを人間に残すかです。
今回なら、まず残すべきなのは「総計」「意味分類」「原文との差」「公開前の最終承認」です。同じ確認が安定して自動化できると実証できた段階で、その確認工程を減らす。この順番なら「全部AI」か「全部人間」かの二択になりません。
Gemini Notebookを使いやすい業務 / 人間監査必須の業務
使いやすい候補
・下書き作成 ・既存ソースからの資料構成 ・Office形式への変換 ・修正前提の社内資料 ・人間が正解を照合できる集計
人間監査を残す
・経営数値を含む報告書 ・顧客へ渡す提案資料 ・自由記述を分類・評価する資料 ・原因や背景の説明が重要な資料 ・社外公開コンテンツ
そのまま任せない
・契約・法務上の確定文書 ・再計算できない重要財務数値 ・ソースにない推論が意思決定を変える文書 ・人間承認なしで外部実行される重要処理
この検証だけで言えないこと
1. 同一データ1組、各形式1回が中心で統計的な精度テストではない
2. 実顧客データではなく疑似データ
3. プロンプトには明示的な検算ルールを含めている
4. Gemini Notebookは更新速度が速く、後日の出力は変わる可能性がある
5. 時短・費用対効果は測定していない
6. PowerPointの失敗が「PowerPoint形式だから」起きたとは証明していない
7. TEST5の6/6 PASSも他の誤前提や別セッションで再現する保証ではない
したがって、この記事の結論は「Gemini Notebookの精度は○点」ではありません。実務投入するとき、人間が何を検収するかを先に決める必要がある。そこまでが今回確認できたことです。
導入前チェックリスト
□ 入力ソースを固定したか
□ 重要な基準値を生成前に固定したか
□ 初回成果物を保存したか
□ 明細から総計を再計算したか
□ 自由記述の分類を原文へ戻って確認したか
□ ソース事実とAI推論を分けたか
□ Word / PPTの実表示を確認したか
□ 修正後を「修正したから正しい」と扱わず再確認したか
□ 最終公開・提出のHuman Gateを置いたか
よくある質問
Gemini NotebookはExcel・PowerPoint・Wordを作れますか?
はい。2026年9月26日時点のGoogle公式情報では、Microsoft Word(docx)、Excel(xlsx)、PowerPoint(pptx)を含むダウンロード可能な成果物生成が案内されています。今回のHSビル検証でも3形式を生成できました。生成可能であることと、内容が無確認で正しいことは別です。
数値はそのまま信用できますか?
今回の検証では主要KPIの多くは一致しましたが、PowerPointの原価総計やWordの件数総計に不一致がありました。重要数値は明細または別の正解表から再計算する必要があります。
「検算してください」と指示すれば人間確認は不要ですか?
今回の初回生成プロンプトにも検算指示を含めましたが、総計の誤りは残りました。今回確認できたのは、その条件でも人間確認を完全には省略できなかったことです。
Wordで正しかった数字はPowerPointも正しいと考えてよいですか?
いいえ。今回は3形式を独立生成しています。ある成果物で正解と一致したことは、別成果物が検証済みであることを意味しません。
全部確認するならGemini Notebookを使う意味はありますか?
今回、時間短縮やROIは測っていないため効果は断定できません。実務では成果物を人がゼロから再作成するのではなく、総計・原文忠実性・意味分類など、確認箇所を限定して設計できるかが判断ポイントになります。
NotebookLMとGemini Notebookは別製品ですか?
Googleは2026年7月16日にNotebookLMをGemini Notebookへ名称変更しました。Google公式では、同じスタンドアロン製品として研究・学習用途を拡張する位置づけが説明されています。
まとめ
Gemini Notebookは、同じTXTソースから編集可能なExcel・PowerPoint・Wordを生成できました。今回の統制テストでは主要KPIや欠損処理が正しく再現された箇所がある一方、総計、意味分類、原文への忠実性、目次表示など、人間が確認すべき問題も見つかりました。
また、限定的なWord修正では本文・表・数値を保持でき、別チャットの誤前提6件には今回すべてソースを優先しました。だから結論は「Gemini Notebookに任せてよい」でも「危険だから使わない」でもありません。1業務のどこまでAIへ任せ、どの確認を人間に残すかを先に決める。
1業務を、AI任せではなく「確認工程込み」で設計する
AIを入れること自体がゴールではありません。今回のように、成果物を作れる工程と、人間が確認すべき工程を切り分けて初めて業務として運用できます。
HSビルでは、対象業務を1つに絞り、AIへ任せる範囲・人間確認・停止条件まで整理する「1業務まるごとAI化 2週間パック」を用意しています。
AIに全部任せるのではなく、1業務のどこをAIに任せ、どこを人が確認するか設計する。
公式一次情報
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著者・検証について
著者:HSビル AIメディア編集部。奈良・大和西大寺のHSビル・ワーキングスペースで、生成AIの業務設計・法人研修・SEO/AIO支援に関する実務検証と情報発信を行っています。
本記事の数値はAI検証専用の疑似データです。実在するHSビルの売上・顧客・料金実績ではありません。検証日:2026年9月25〜26日。Google公式情報の確認日:2026年9月26日。


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